空を閉じ込めた箱。
気まぐれすぎる管理人の狭い狭い箱庭。
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危なし早速今月分を忘れるところだった。
シリーズ化しようず!とか言っておきながら即効で忘れるこの記憶力はむしろ賞賛されるべきだと思います。
というわけで、生徒会の2回目ですね。いやー危ない危ない。6月終わるかと思った。

中身は続きでー。


体育館の高い天井を雨が永続的に叩いている。ドラムの中の人の気分が少しだけ味わえた。頭の中はキャパシティオーバーで逆に一部分が冷静になってしまったようだ。
現在、新しい生徒会を決めるということでその演説の真っ最中だ。僕の学校では生徒会に入りたいという当人以外に推薦者が必要で、その推薦者にも演説が必要になってくる。僕の推薦者はやはり付き合いも長い彼で、嫌々ながらも引き受けてくれたのは実にありがたいことだった。
「そりゃさ、生徒会に入りたいっつー本人が演説するのは解るよ。でもどーして推薦者まで演説しなきゃなんねーの?」
「時間の引き延ばしとか」
「あ、ありうる」
「実際、あの生徒会に入りたいって人はあんまりいないらしい。出れば当選確実くらいに思ってていいんじゃない」
体育館からステージ裏までの移動の際にそんな会話を交わしたことを思い出す。実際に「生徒会員」の立候補はそれなりに……世間一般と比べれば十分に少ない人数だが……いたものの、副会長としての立候補は僕一人だった。
ステージの方からマイクの音が途切れ、代わりに拍手が聞こえた。演説が終了したようだ。今までの演説は僕の推薦者であり、彼の演説が終わったということは次は僕の番だ。彼がステージ裏へと帰ってくる。雨の音が一層大きく聞こえた。
「次、お前」
小声で彼が言う。別にマイクなど音を拾える装置があるわけでもないのだから普通の声で喋っても構わないのに、ステージ裏という表舞台の裏側にはそうせずにはいられない魔力があった。僕も小声で返す。
「解ってる」
「あんなに人が多かったら緊張すんだろ?ダイジョーブ、あいつら全員宇宙人なんだぜ!」
「それはさすがに理解できない」
「とにかく、ガンバ!」
ステージへと移動する。この瞬間が大嫌いだった。何かから変わろうと、進もうとする瞬間が。これからはそれを嫌うわけにはいかない。マイクの前で静かに息を吸い込み、頭の中に記憶した文章を読み上げる。不思議と、そこからステージ裏に戻るまでの記憶がない。

教室に戻って投票の後、クラスの面々は僕に入れたと言ってくれた。
「そもそも、副会長候補は一人しかいないし」
「俺、不信任でバツつけちゃおっかなー」
「おごりの飲み物はお汁粉で確定だな」
「本当に申し訳ありませんでした」
「複数いたとしても副会長になれてたと思う。よかったよ、フツーに」
「普通に?」
「そう、普通」
数日後にこの選挙の結果が公表された。僕も含め、すべての立候補者が当選となったそうだ。嬉しい気持ちは当然あるのだが、この数日の緊張からようやく解放されたという気持ちのほうが強かった。
今日の放課後に顔合わせも兼ねて会議室に集まるように、と担任が言っていた。生徒会室もあるのだが、初回は委員会の委員長や部活動の部長も集まるそうなので広い会議室が選ばれるそうだ。会議室に到着したのは僕が一番で、その後は上級生らしい生徒たちがてんでんばらばらに入ってきた。
集合時刻ちょうどを時計が指した。担当の先生が戸惑う雰囲気を見せ、初めての生徒会は中々始まらない。生徒会以外が座る、委員長や部長たちの間でもちょっとしたざわめきが起きていた。「あの人、いないよね」断片的にそんな声が聞こえる。時計がさらに3分ほど進むと閉められた引き戸ががらりと開けられた。
「ん……、まだ始まってないのか……」
彼は後ろ手に戸を閉める。そのままつかつかとホワイトボードの前に立ち、気だるそうな声で告げた。
「生徒会長になりました。まぁ、よろしく」
ぎょっとして彼、会長の顔を見ようとした時にはすでに閉めた戸に向かって歩き出しており、背中しか見えなかった。会長の言葉は生徒会という厳粛なイメージには似ても似つかなく、その背中でさえシャツが少し見えるような、だらしない服装だった。呆然とする会議室の中の空気なんて見えないかのように会長は会議室から出て、きっと入ってきたときと同じように戸を後ろ手に閉めた。固まった空気を動かしたのは先生で、それでもやはり控え目に、「じゃあ副会長の君が進行してくれる……?」と酷く低姿勢だった。元来のこの先生から出る言葉ではなかったのかもしれない。
僕が生徒会に入るのを決めたのはあの日の前生徒会長の学校に対する真摯な想いをこの身に受けたからだった。それが今はどうだ。あの会長は何なんだ。怒りが沸いてくるが、本人のいない状況だからそれをぶつける場所がない。会長の立った場所と同じホワイトボードの前まで行き、口を開く。
「本日より副会長になりました。会長の分までこの学校を精いっぱい良くしようと思っているので、よろしくお願いします」
その言葉は宣戦布告のようなものだったが、肝心の聞くべき人物はこの場にいなかった。


幕間:投票者の視線
特にすることもないので体育館天井の梁の数を数え、30ほどいったあたりでやめ、また別の何かを数え……を繰り返していた。生徒会投票のための演説。授業がなくなるのは嬉しいが特に何もすることなく話を聞くだけということに苦痛を覚える生徒が大多数ってところか。俺としては何もできない退屈な時間よりはまだ授業を受けていたほうがましだった。
「まずは、会長候補の、推薦者の演説です」
放送部のアナウンサーみたいに面白みに欠けた声が体育館に雨の音と混じり、響き、消えていく。ステージの隅から女子生徒が出てきて、その姿が記憶の片隅に引っかかる。見覚えはある。だが、誰だか思い出せない。
「みなさん、こんにちは」
彼女が口を開いた瞬間にぴたりと当てはまる人物が思い当った。前生徒会長……いや、今は新しい生徒会が決まっていないから、まだ生徒会長か。会長はその人物がどのような人物で、生徒会でもこんな活躍をしてくれたと軽やかに語っていく。なるほど、現在の生徒会のメンバーから新しい生徒会に「会長」として立候補したのだろう。そして現行の生徒会長が推薦する人物。どんな人物なのだろうか。少し期待が高まる。
考えている間に会長の演説は終わり、アナウンサーみたいなアナウンスから数秒後、一人の生徒がのそのそと冬眠明けの熊のような眠そうな目をしながらステージに上がってきた。「会長が推している」という情報からまじめな生徒を想像していたため、もしかして何かマイクの調子が悪くて換えに来たりしたのだろうかと勘繰ったのだがその予想を裏切り、彼は壇上のマイクの上で止まり、俺たち生徒を一望したうえで言った。
「会長として立候補しました。大体の話は会長から聞いたと思うし……、俺の話の内容は各個人に任せる。今日のところは生徒の皆さんのためにもこれで終わりにしておく。よければ、よろしく」
一礼して彼は去って行った。会長候補の演説は一番最初だった。他の立候補者が大損を食らうようなインパクトを後に残していった。

「お疲れ様。やっぱ緊張した?」
「やっぱり人が多いと緊張するね。あんな場に立ったの初めて」
「その点キミは全然緊張してたように見えなかったな」
「だって、人間なんてただの電球じゃん?」
「そういう開き直りは僕も身につけたいよ。あぁ、思い出すだけで心臓が痛い。あんなんで大丈夫だったかなー」
「ちょっとくらい失敗しても大丈夫かと。そもそも、副会長候補は一人しかいないし」
「俺、不信任でバツつけちゃおっかなー」
「おごりの飲み物はお汁粉で確定だな」
「本当に申し訳ありませんでした」
「複数いたとしても副会長になれてたと思う。よかったよ、フツーに」
「普通に?」
「そう、普通」
この二人は舞台裏側にいて、しかも自分の番の前で緊張していたわけだから会長候補の演説がどんなものかを一切知らないのだろう。よくも悪くも普通だった。ただ、あの演説がいわば「ずるい」だけなのだ。あれと比べればほとんどすべてが普通にカテゴライズされてしまうだろう。
後日発表された投票結果を見て、あの会長が落選していないと知り、少し安心したのはきっと俺だけじゃない。


名前を出さずにってのはそろそろ本当に無茶があるんじゃないかと思った2回目。
会長が出てきたと思ったらやっぱり出番が少ないとか可哀想な会長。
今後は会長・副会長主軸というか、その二人だけでも話が十分進むから名前も要らなくなるとかwktkが止まりませんね。
前回「中学からの悪友」と書いたくせに今回「幼なじみ」になってて慌てて修正しました。やばいやばい、記憶力が足りない。
ギリギリまだ梅雨の時期だよね……!
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